eMAXIS Slim先進国株式 vs. eMAXIS Slim新興国株式
インデックス投資を行う場合の投資先として真っ先に挙げられるのは先進国株式でしょう。先進国株式は成熟した先進国を投資先にしているので市場が相対的に安定しています。コスト面でもeMAXIS Slim先進国を選択すればかなり低く抑えることができます。
最近の株価は少し元気がありませんが、長期的にみればずっと右肩上がりです。
投資はeMAXIS Slim先進国だけで良いという意見もありますね。
先進国に対立する概念に新興国があります。
新興国株投資は先進国よりもリスクが高いと考えられています。上下の振り幅が大きいので取扱には注意が必要です。新興国は若年人口が多くて高成長が期待できますが、経済システムが未熟で大きく値崩れすることも多いです。
新興国投資はそれ以外にコストが高いという問題もあります。先進国株よりも信託報酬等のコストが高くなることが一般的です。
eMAXIS Slim新興国株式が誕生して信託報酬が劇的に下がりましたが、eMAXIS Slim先進国と比べると割高になっています。
投資する場合は先進国株や国内株と一緒にポートファリオの一部として持つのが一般的だと思います。
先進国と新興国に組み入れられている国を比べてみます。
eMAXIS Slim先進国の構成国の中心はアメリカになります。米国が7割近くを占めるのでそのパフォーマンスもS&P500等の米国株式インデックスとよく似ています。
先進国株と米国株の関係について記事にしています。
先進国株インデックスと米国株インデックスのどちらに投資するべきか? - 1億円のポートフォリオ
eMAXIS Slim新興国の方のトップはケイマン諸島になります。ケイマン諸島というとよく分からないですが、構成株式をみるとテンセントやアリババ等の中国を代表する企業が含まれています。中国の規制から逃れるためにケイマン諸島で上場しているようですね。ケイマン諸島を中国として考えると新興国の3割近くが中国になります。
新興国株は中国、韓国、台湾、インドが牽引するインデックスと言えますね。
eMAXIS Slim先進国と新興国の特徴を簡単にまとめます。
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eMAXIS Slim先進国 |
eMAXIS Slim新興国 |
信託報酬 |
0.11772% |
0.20412% |
ベンチマーク |
MSCIコクサイ |
MSCIエマージング・マーケット |
純資産 |
181億円 |
77億円 |
先進国株の方が信託報酬(コスト)でも人気でも上回っていますね。
それでは、実際のパフォーマンスはどうでしょうか?
2018年のeMAXIS Slim先進国と新興国を比較してみます。
赤:eMAXIS Slim先進国、橙:eMAXIS Slim新興国
2018年上半期の株式市場は全体的に低迷しました。それでも先進国株は盛り返して年初から2%上昇しています。
対して新興国株は今でも10%近く下落したままです。5月頃を境に明暗を分けています。米国の長期金利上昇による新興国からの資金流出や米中対立が主な原因のようです。
米中が対立すると新興国側がより大きく下落するみたいですね。
次にもう少し長期の比較をしてみましょう。
eMAXIS Slimは最近のデータしかないので長期の比較はできませんが、ETFデータを使うと過去10年分の比較が可能です。
先進国(MSCIコクサイ)と新興国(MSCIエマージング・マーケット)の過去10年を比較してみます。
先進国株は過去10年で約2倍に成長しました。対して新興国株は1.25倍の成長です。
明らかに先進国の方がパフォーマンスが良いですね。
昨日、中国が米国に対して6.7兆円分の報復関税を発表しました。米国が発表している22兆円分の追加関税に対する対抗措置ですが、米国の規模より少額に留まっています。貿易赤字は米国の方が大きいので同額の対抗が出来なくなっているのでしょう。
米中が本格的な貿易戦争に突入すると中国がより大きな影響を受けることになりそうです。
新興国株の見通しはしばらく悪そうですね。