eMAXIS Slimの低コスト追求は本当に信用できるか?
インデックスファンドで一番の人気シリーズはeMAXIS Slimでしょう。
昨年の「投信ブロガーが選ぶ fund of the year」の1位もeMAXIS Slim先進国株でした。
当の三菱UFJ国際投信もこの実績を積極的に宣伝に使っています。
eMAXIS Slimの人気はなんと言っても業界最低のコストを目指し続けると宣言しているからです。
実際、これまで他社の投信が信託報酬を引き下げればすぐに同率まで引き下げるという対応を取ってきました。
ベンチマークにする指数が完全に一致しなくても、類似のファンドだったら構わず引き下げるという姿勢は投信ブロガーから喝采を浴びました。
そんな我らのeMAXIS Slimですが、最近不安なことが起きています。
SBIがバンガードと組んで超低コストのインデックスファンドを立ち上げました。
米国S&P500指数に連動するファンドで信託報酬は年0.09264%程度と、0.1%の壁を突き破る超低コストです。人気の米国株インデックスなので大きく成長するかもしれませんね。
S&P500と言えば、eMAXIS SlimにもS&P500に連動するファンドがあります。
eMAXIS Slim米国株の信託報酬は年率0.162%なので、今回のSBIファンドの誕生で業界最低水準とは言えなくなりました。
これまでのeMAXIS Slimだとすぐに引き下げを発表してきました。今回も当然すぐに反応すると期待しましたがまだ動きがありません。
SBIバンガードS&P500が有価証券届出書を提出したのが8月27日なのでもう3週間以上過ぎていますが、eMAXIS Slimからは何の発表もありません。
eMAXIS Slimの「業界最低水準をめざし続ける」という宣言の下には小さく注意書きが書かれています。
「業界最低水準にすることを目指しますが、これを実現することを保証するものではありません。」
あまり1つのファンドを信用するのは良くないかもしれません。
eMAXIS Slimの旗艦ファンド、eMAXIS Slim先進国株は信託報酬が年率0.107892%の超低コストで人気です。
でも今はニッセイ外国株も同じ信託報酬で販売されています。
最近、たわらノーロード先進国株式の信託報酬も同率まで引き下げると発表されました。
eMAXIS SlimがSBIバンガードに反応しないのを見て、eMAXIS Slimだけを買い続けていて本当に良いのかという思いが頭をよぎっています。
ニッセイやたわらに分散して投資した方が後で騙されたと思わずに済むのかもしれません。
eMAXISには過去に悪しき前例があります。インデックスファンドが今より高コストだった時代、eMAXISは低コストファンドの代表的な存在でした。
信託報酬の低コスト競争が激しくなってくると、eMAXISは相対的に低コストと言えなくなってきます。
そこで三菱UFJがとった戦略はeMAXISのコスト引き下げでは無く、新規にeMAXIS Slimを立ち上げるというものでした。
それまでeMAXISを買い続けていた人はこの決定に大きな衝撃を受けました。梯子を外される思いとはまさにこのことですね。
eMAXISをコツコツ買い続けて数千万円のホルダーになっていたブロガーの心の叫びが綴られた記事があります。
投信の保有額が増えると、売買に伴う課税が大きくなるので買い替えるのが難しくなります。
結果として、最安ではないと分かっていながら、保有を続ける羽目になります。
いつかeMAXIS Slimの低コスト化がストップしてeMAXIS スーパーSlimが誕生することが絶対に無いとは言えないですよね。
三菱UFJ投信にはこの不安を早く払拭して一刻も早くeMAXIS Slim米国株の信託報酬引き下げを発表してもらいたいものです。